夏至ラン2021年6月20日

プランナー:沢越
ラン報告:大城
参加者:武田,中原,水野,井土,大城,上原,山田

今年も信州大学サイクリング部の中の過酷なランの一つである「夏至ラン」が開催された.夏至ランとは太平洋で日の出を拝み,日本海で日の入りを見る,ただそれだけのランである.例年はその過酷さが故に参加者が数名程度しかいないものの,今年は多くの部員から参加連絡が来たようだ.そのため急遽「一日に180キロ走ったことがある,一日に獲得標高2000メーター分走ったことがある,先頭を引いたことがある」と言う3つの条件が設けられた.夏至ランの走行距離と獲得標高は約270キロの2500upのため,その条件を満たしていないと恐らく完走は厳しいと思われる.それでは2021年度の夏至ランの報告をゆるく書いていきたいと思う.
*プランナーが急遽走れないことになり,ラン報告は「主観的な文でよければ」と言う条件で大城が書かせていただいた.その点についてあらかじめ断っておきたい.

まず夏至ランは2日間にわたって行われる.と言っても2日間ずっと走っているわけではなく夏至に一番近い土日を利用して,土曜を長野から富士市への移動期間にあてて,日曜に富士市から糸魚川までの300キロ弱を走破するというものだ.自転車に興味がない人からすれば明らかに狂ってる(笑).一日目は長野市から富士市まで鈍行を利用して輪行.この日は全国的に雨だった.

梅雨真っ盛りなのもあってずっと曇天
夏至ラン1

参加者はそれぞれの予定に合わせて電車に乗ったが筆者が富士駅に着いたのは20時半頃.雨の中,今晩の宿である快活クラブへ.着くと既に部員たちの自転車が置いてあった.自転車旅をしている人のブログを見ると盗難防止のために輪行袋に入れて部屋に自転車を持ち込むのが良いとのことなので筆者もさっき輪行解除したばかりの愛車を再び輪行袋へ.野宿は何回かしたことがあっても自転車を持ってのネットカフェ泊は初めてだったので変な期待と不安を持ちつつ受付を済ませ鍵付き個室へ.

思いのほか快適で熟睡できた筆者であった
夏至ラン2

早速部屋に入って雨に濡れた荷物を乾かす.思いのほかこれが快適だった.近くのコンビニで夕飯と朝食のおにぎり4つを買い込み,イヤホンで音楽を聴きながら眠りへと落ちていった.

 2日目,目覚ましの音で3時に目が覚める.4時半の日の出を見に海岸へ行くため早起きだ.昨日買いこんだ朝ご飯を食べて準備にかかる.外へ出ると路面は濡れているものの雨はやんでいた.さっさと自転車を組み立てて7人で海岸へ行く.海岸に着いたものの相変わらずの曇天で太陽の姿は見えず,富士山も麓しか見えなかった

海岸沿いに着く.曇天なのは昨日と変わらず.
夏至ラン3

グループを2つ作り3人と4人に分けた.筆者は3人のほうに入った.時間も限られているので4時44分に計測開始.14時間での完走を目指してひたすら走っていく.走っているときにどれだけ4人グループと差をつけられるかななどと会話をしながら余裕の表情で走っていたが開始20キロ地点で左折するべきところを直進するというミスをしてしまう.その時のログがこちら↓

夏至ラン4

この痛恨のミスのせいでプラス12キロほどになってしまい,280キロ走ることになってしまった.だがこの時の会話が
大城:280キロですか…余裕あったら夏至ラン達成した後300まで走りません?
井土:確かに(笑).プラス20キロなんてすぐだしね!
中原:いいじゃん、300走ろうよ
であった.道を間違えて大幅なタイムロスをしているはずなのにむしろモチベーションが上がっていたことに執筆時に驚いてしまう(笑).
 この日は向かい風が一日中吹いており,ローテーションを10分交代で行いながら走っていた.それでも風の影響は大きく,夏至ランの山場でもある富士見峠と塩尻峠では登坂と向かい風とのダブルで苦しめられた.南アルプス市らへんで4人グループから千切れてしまった武田氏を追い越した.途中バイクのヤエーに元気づけられながらも富士見峠についたのは記録を取り始めてから6時間後であった.ここまでの走行距離は130弱ほど.グロス平均が20を下回らないように休憩時間もなるべく削っていく.ちなみにここまでのコンビニ休憩は3回.次の休憩は塩尻峠の手前だと決め,登り区間をじわじわ消化していく.自分たちのグループは登り区間はバラバラでも上った先で合流するという流れで走り,塩尻峠も出発から8時間後にクリア.ここまでの走行距離は160ほど.このあたりで4人グループにほぼ追いついた.ここからは安曇野市までしばらく下りが続く.下りの区間は無駄に飛ばすことはせずに乗りながらできるストレッチを行うことで体をほぐしていく.300キロ走るとなるとずっと同じ姿勢が続くため,適度に体をほぐす必要がある.

ツイッターのフォロワーさんのいいねがものすごいエネルギーになる(安曇野200キロ地点)
夏至ラン5

 安曇野のセブンイレブンで5回目の休憩.時刻は14時45分ほど.自分も含め3人みんな疲労困憊であったためアイスを食べたりして15時まで休憩した.ここでグループラインから残念な通知が入る.唯一の1年生の参加者であった山田が落車による機材トラブルで松本で離脱するということだった.悔やまれるが本人は来年もチャレンジするとのことだったのでその時はぜひ完走&達成してほしいと思った次第だ.その後,武田氏もリタイヤを宣言し,プランナー沢越氏によって車で長野市に送還された.
 ここからコンビニに止まってしまうとグロス平均的に達成は困難になってしまうため白馬→糸魚川のトンネル区間の直前までは無補給で走る.なるべく3人一緒で走ってきたが中原氏が遅れだし,先に走っていいということだったので,筆者と井土氏で木崎湖付近から2人で走っていた.何としても日が沈む前に糸魚川に着こうと巡航速度を30近くまで上げるものの疲労は確実に溜まってきており,少し無理をしようとすると足がつりそうになるため,水分を定期的にとりつつ足が攣らないぎりぎりの速度を探りながら走る.出発から230キロ地点の白馬のローソンで最後の休憩をとる.後になって本来補給したかったローソンはあと20キロ先だったことに気付くが「もはや20キロなんて誤差」みたいな感覚になっていた.別で走ってた中原氏も追いつき,3人一緒に最後の補給地を出発した.
 そしていよいよ酷道148号線のトンネルダウンヒルが始まる!個人的にはどの登り区間よりもこのトンネルのほうが注意すべき点だと思っていた.去年の長野ランの時に走っていたため大体の危険度は知っていた.(しかもこの時は糸魚川→白馬方向)路肩もなく大型トレーラーが自転車を認知していないのかと思えるほどすれすれを走っていく.ここでメカトラが起こったらなんて想像したくない.個人的には絶対通りたくない道ベスト3に入る酷(×国)道148を下っていく.しかし実際走ると下る分には比較的楽で後続車両に気を使えば難なく下りきることができた.途中途中で橋があり,そこから見える景色が癒しだった.あぁ,こういう瞬間があるから自転車に乗っていられるんだな…なんて思ってしまう.逆に完走を確信したからそのような心の余裕が生まれたのかもしれない.このダウンヒルのおかげでグロス平均は19台から20.6まで上げることができた.長いトンネル区間が終わり,水平線が見えた.この時の感動と言ったら言葉では表現できない.一緒に走ってた井土氏と喜びを分かち合った.
 そしてついに日本海に到着!出発から14時間ジャストで285キロを走破できた.

海沿いの展望台に自転車を担いでパシャリ!
夏至ラン6

夏至ラン7

日の出は見れなかったものの日の入りは何とか見ることができた.一日中僕たちを照らしてくれた太陽が沈んでいく.日が沈んでいくという当たり前の光景をこんなに感慨深く見つめられたのは人生で始めたかもしれない.そして中原氏も少し遅れて日本海に到着.これで僕らのグループは3人全員完走&達成することができた.

グループでの完走&達成
unnamed

そしてしばらくして上原と水野氏が到着.これで5人完走することができた!本当にみんなが頑張ったと思う.ここで自分たちのグループは300キロを達成するため少し休憩を取った後15キロほど8号線を走った.もうすっかり夜になったが,海岸線を走るのは本当に気持ちいい.灯台の光がきらめいている.これだけ走ると足が馬鹿になってくるみたいで補給さえすればずっと走れてしまう感じさえする(笑).これで夏至ラン達成&最長ライドを更新し,糸魚川駅で全員と合流し,新幹線で長野駅まで帰った.22時頃に長野駅に着き,ラーメンを食べそれぞれ家へと帰っていった.

 結果として7人チャレンジ,5人完走,3人達成と言うことになったが,途中のトラブルやずっと吹いていた向かい風,道を間違えるなどのことを考慮すれば本当にチャレンジャーそれぞれがベストを尽くせたと言ってもいいのではないだろうか.筆者の場合いつもソロで走ることが多く,グループで走ることに逆に不安があったのだが,つらい時も笑いながら一緒に走ってくれる仲間の存在の大切さに気付くことができた.このラン自体は決して楽なものではないが,チャレンジしてよかったと思う.自転車に乗るのが好きな人ならぜひチャレンジしてほしい.以上、筆者のグループ目線からのラン報告であった.本当にチャレンジした7名の方々お疲れさまでした.本当にありがとうございました!

おわり

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です